
いつでも大賑わいの一番街の北側。
昔、幕府の高札が掲げられていたと言われる
「札の辻」から氷川神社へ向かう通りには、
個性的なお店がいっぱい!
江戸時代から変わらない道を通って、
お気に入りの場所を見つけてみませんか?
表紙:龜屋 / 写真:井上唯 / 編集:櫻井理恵 / デザイン:吉野博之
注目! 札の辻界隈
川越メル珈琲
こだわりの珈琲と過ごす
至福の自分時間
初雁中学校前にある隠れ家のような喫茶店。丁寧に淹れられたネルドリップの珈琲やオリジナルスイーツが人気。書家でもあるマスターの作品は味わい深く、自分だけの静かな刻を過ごすのにピッタリの名店です。
氷川神社 旭舎文庫
川越の歴史や文化に
触れられる場所
この辺りの人たちの、忘れられない思い出の場所。かつて駄菓子屋だった古い建物が、川越地域の歴史や文化を伝える場所へと蘇っています。川越地域に関する資料展示や企画展など、地元の人こそ、訪れてもらいたいスポットです。

Gallery& Cafe
平蔵
本場・秋田の味を堪能 !
秋田生まれの女将さんが作る本格的な秋田料理をいただけるお店。由利牛や秋田県産の米「サキホコレ」など、秋田由来の食材を季節ごとに使っています。店名の「平蔵」は女将さんの飼っている猫ちゃんの名前から。

ヤオコー川越美術館
名建築で楽しむ
三栖右嗣の世界
氷川神社からほど近い川沿いに見える美しい意匠の建物。伊東豊雄が手がけた美術館では、現代リアリズムの巨匠といわれた三栖右嗣の作品を展示しています。森の中に佇むような静謐な空間で、アートを味わってみては。

Little Edo Coffee
海外からも注目 !
兄弟が営む、イチオシカフェ
氷川神社に向かう道すがら、老舗の酒屋さんと共に営業しているLittle Edo Coffee。兄弟が営む本格的なカフェでは、自家焙煎の豆を使ったドリンクや、季節の素材と地元野菜たっぷりの
カジュアルフレンチのコースが楽しめます。散策の合間に一息するときのおすすめドリンクはかわいいアートが施されたラテ。海外の人も注目するエスプレッソマシーンを使い、コクのあるミルクにマッチした味わいです。そして忘れてはならないのが、こだわり卵を使用した硬めのプリン。毎日店内で手作りされ、一番人気のスイーツです。限定の夜営業では、アルコールを使ったメニューも楽しめるそう。川越の暮らしを彩る注目のカフェです。

うな昭
古民家で味わう、
創作うなぎ料理
喜多町弁天長屋の古民家から、香ばしい香りが漂います。繊細な味わいのうなぎ料理に定評のなるうな昭でいただきたいのは、ランチで10食限定の「せいろ御膳」。焼いた後に蒸す工程がうなぎを最高の状態に仕上げます。

文星舎
老舗印刷会社で体験 !
紙と文字に触れる秋
札の辻で2023年に開業した文星舎。活版印刷や和綴の体験、オリジナル文具の販売をしています。小江戸のまちで、日本の印刷文化を楽しんでみませんか? 紙の手触りは、デジタルでは触れられない特別な体験です。

路地を曲がれば
そこはもう一つの川越 コエドノコト×立教大学 〈薬師丸ゼミ〉
こんにちは ! 立教大学法学部・薬師丸ゼミナールです。
私たちは川越の一番街商店街の混雑問題に注目し、
一番街から少し離れた場所の魅力を発信する活動をしています。
今回は、商店街の喧騒を抜けた静かな路地や隠れたスポットを取材し、
川越の「もうひとつの魅力」を皆さんにお届けします。
川越キリスト教会
蔵のまちに残る
もう一つの歴史
「蔵のまち」川越に佇む赤レンガの教会、日本聖公会 川越キリスト教会。1921年建築で、立教大学チャペルと同じ設計者による歴史的建物です。
舟を思わせるアーチ天井やフランス積みのレンガが印象的で、朝から自由に見学可能。地域の祈りの場であり、人生の節目を彩る挙式の舞台としても親しまれています。蔵の町並みだけでは語れない、キリスト教文化が息づくもうひとつの川越の歴史を感じてみませんか。
history
1878年(明治11年) 立教大学創設者ウィリアムズ主教の宣教により、川越でアメリカ聖公会の活動が始まる。
1889年(明治22年) 最初の礼拝堂が建設される。
1893年(明治26年) 川越大火で礼拝堂が焼失。
1921年(大正10年) 現在の赤レンガ礼拝堂が再建。設計は立教大学校舎も手がけた建築家ウィリアム・ウィルソンによる。
2001年(平成13年) 礼拝堂が国の登録有形文化財に指定される。

1901 Tea Salon
明治期の姿を再現。
100年の天井に包まれる、
癒しの川越時間
メインストリートから一本入った大正浪漫夢通りにあり、1901年に造られた建物をリノベーションしたレトロな雰囲気のティーサロン。アンティークの照明や木製のインテリアが調和し、独特のレトロな雰囲気を醸し出しています。
セットになる狭山茶は煎茶、ほうじ茶、和紅茶の三種類の中から選ぶことができ、日本茶ならではのまろやかさが調和した味わいは、和菓子によく合います。また、素敵な鉄瓶急須はデザイナーの奥山清行氏が考案したもの。特別な急須で提供されるお茶と和菓子の調和が楽しめます。
menu
・河越抹茶ババロアセット 1,200円
・季節の和菓子二点セット 1,400円
・わらび餅セット 1,100円

Byron
光あふれる、
とっておきの洋食時間
川越の静かな通りに店を構える「洋食屋Byron」。
商店街から少し離れたその場所には、思わず足を止めたくなるような落ち着きがあります。扉を開けると、外の喧騒を忘れる穏やかなリズムが流れ、ほっとひと息つける空間が広がっています。
人気メニューのオムライスは、卵がとろける柔らかさで、お肉も柔らかく、ソースは濃厚で相性が抜群です。
開放的な店内で、大人の隠れ家のような心地良さとともに、こだわりの料理を堪能できます。
menu
・洋食屋のとろとろオムライス ビーフシチューソース 1,738円
・国産ハンバーグステーキ デミグラスソース 1,628円
・サーモンのポワレ バジルとバルサミコの2色ソース 1,628円
・スパゲッティボロネーゼ 1,628円
・焼き立てパン(2個) 440円

川越市大手町6-1
049-298-7503
11:30~15:00(料理L.O. 14:30 ドリンクL.O. 14:30) 17:30~21:00 (料理L.O. 20:30 ドリンクL.O. 20:30) ※平日ディナータイムは、予約があった際のみの営業になります。 水曜定休

氷川神社と川越氷川祭
秋が近づくにつれて心がはやる――
どこの地域もお祭りの日を楽しみに待つ人は多くいることでしょう。
川越で一番盛大に行われる「川越まつり」。その起源は、江戸時代に遡ります。
三七〇年あまりにわたり、
継承されている祭
「川越まつり」として親しまれる川越の秋祭りの起源は江戸時代に遡ります。城下町の総鎮守、川越氷川神社の例大祭は創建以来続けられているお祭りで、神様への感謝と地域の安寧を祈る神事です。松平大和守家の資料に残された記録では、夜間に火や照明を用いた祭事が行われていたことが記されており、こうした古い習わしが、現在も山車が夜に並ぶ「宵山」として引き継がれたものと考えられています。
例大祭が行われる十月十四日の後に行われる「神幸祭」は、神輿に乗られた氷川神社の神様が町内を巡行して、町の繁栄や人々の幸せを守る神事で、約三七〇年前に、現在の山車行事の基盤となりました。寛永十五年(一六三八)に起こった大火で、川越の町は大部分が焼失しました。その翌年に藩主に着任した松平信綱は、すぐに城下町の整備に取り掛かり、町割りや新田開発に着手。都市基盤が整えられていく中、慶安元年(一六四八)に氷川神社へ神輿、獅子頭、太鼓など祭礼に使われる道具を寄進して、御神幸を奨励しました。文政九年(一八二六)の川越氷川祭礼絵巻には、当時の行列の様子を見ることができます。
また、一八四二年から一八四九年にかけて作られた氷川神社の本殿の建築は、町を挙げての大事業でした。手掛けたのは江戸の名工・嶋村源蔵。現在も残る本殿彫刻には、源氏の武将や動物、植物などの他、山王や浦島、小狐丸など、山車人形のモチーフが精緻な江戸彫りで彫られています。
こうして地域の信仰と密接に関わるお祭りは、代々に渡って受け継がれています。時代に合わせて少しずつ形を変えながらも、地域の安寧を願う気持ちはいつも同じ。さあ、今年も心はやる川越祭の季節がやってきます。
参考資料:川越氷川神社ホームページ、「川越市市制百周年記念誌」(2022年)
いつものください! column
地元の人が通う名店をご紹介!
季節で味わう
ロールケーキ
元町の長屋の一角にある喫茶店Banon。店主のセンスが光るかわいい雑貨と、手作りスイーツが味わえるお店です。シーズンごとにいただきたいのは、季節のフルーツを使ったふわふわのロールケーキ。手作りならではやさしい甘さの虜になります。

Banon
川越市元町1-12-7
049-277-4300
月〜水曜定休、他
小江戸の定番 !
亀の最中
創業は一七八三年 ! 川越随一の老舗和菓子店・亀屋といえばこの最中。ずっと地元の人たちに親しまれています。スタンダードなつぶ餡・こし餡のほか、レモン餡やはつかり醤油を使用した商品も。贈答用にはかわいいイラストの入った缶のパッケージがおすすめ !

